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「鼻の病気の診断と治療」 講演

平成25年3月29日に神尾院長が、製薬会社のサノフィ株式会社の営業所員を対象としたセミナーの講師を務めました。
神尾院長は「鼻科学について」と題し、鼻の病気の診断と検査、治療について写真や動画を用いながら説明を行いました。講演の要旨は以下の通りです。

講演中の神尾院長

手術動画を用いて説明

講演 「鼻科学について ~鼻・副鼻腔炎の診断・治療を中心に~」

鼻は医学的には外鼻、鼻腔、副鼻腔の3つに分類されます。

外鼻は一般の方々が「鼻」と認識している三角形のピラミッド型をした部分のことですが、こちらは形成外科や美容外科の領域で、耳鼻咽喉科医が扱うのは鼻腔と副鼻腔が主となります。

鼻腔(びくう)は鼻の空気の通り道で、鼻前庭(びぜんてい:鼻の入口部)、鼻内(びない:鼻の穴から先のトンネル部)、鼻中隔(びちゅうかく:鼻の左右の隔たり)に分けらます。鼻づまりは主に、鼻内にある下甲介という部分の粘膜の腫れが原因で起こります。匂いを感じとるのは鼻腔の天井部分にある嗅上皮(きゅうじょうひ)という部分で、匂いを感じなくなるのは鼻づまりがによってこの嗅上皮に空気が届かなくなることが原因である場合が多いです。鼻内の奥には耳と繋がる管(耳管:じかん)の入口があります。呼吸によって入ってきた細菌やウイルスが鼻腔から耳管を経由して耳(中耳)にまで入り込むことで中耳炎が引き起こされますので、鼻と耳とは密接な関係があるのです。

副鼻腔(ふくびくう)は鼻腔と繋がっている骨に囲まれた左右4つづつの空洞の総称で、何のためにあるのかは解剖学的には未だ解明されていません。鼻腔と繋がっていることで、呼吸によって鼻腔に入った空気が副鼻腔にも入ることで副鼻腔内の換気が行われます。副鼻腔の内部は粘膜で覆われていて、その粘膜は呼吸によって空気と一緒に入り込んだ細菌やウイルスを排除する働きがあります。しかし、鼻炎などが原因で鼻づまりが起こって換気ができなくなりその働きが鈍ると、細菌が副鼻腔内に残ってしまい、増殖力が増して副鼻腔炎が引き起こされます。副鼻腔炎にかかると粘膜が腫れ、膿性の分泌物(黄色い鼻水)が出てきます。更に重症化すると腫れた粘膜が副鼻腔から鼻腔にまで出てきます。これを鼻茸(ポリープ)といいます。

鼻には、匂いを感じる、呼吸によって鼻内の浄化や湿度・温度の調整を行う、声を共鳴させる(構音機能)といった働きがあります。

鼻疾患の症状には、鼻づまりや鼻水、匂いを感じない、鼻声(構音障害)、鼻血などのほか、鼻炎や副鼻腔炎による鼻づまり(鼻呼吸障害)が原因で起こる睡眠時無呼吸症も含まれます。

鼻の検査には、鼻の内部を観察する鼻鏡検査、鼻鏡では届かない鼻腔の奥や副鼻腔を観察する内視鏡(ファイバー)検査、鼻の通りを調べる鼻腔通気度検査、様々な匂いを感じる度合いを調べる嗅覚検査、レントゲン・CT・MRIといった画像検査などがあります。

鼻の病気の主症状である鼻づまりの原因となる疾患には、鼻を左右に分けている軟骨の壁である鼻中隔が曲がってしまい鼻づまりが起こる鼻中隔彎曲症、アレルギー物質への過剰反応の1つであるアレルギー性鼻炎(花粉症)、アレルギー性鼻炎の悪化や点鼻薬の使いすぎなどによって鼻腔の粘膜が慢性的に腫れた状態になる慢性鼻炎(肥厚性鼻炎:ひこうせいびえん)、慢性副鼻腔炎、鼻骨骨折などがあります。

アレルギー性鼻炎の症状の特徴はくしゃみ、透明な鼻水、鼻づまりの3大症状と目の痒みであり、ハウスダストやカビなどが原因(アレルゲン)の通年性のもの、スギやヒノキ、ブタクサなどが原因の季節性のものがあり、一般に広く知られている花粉症もアレルギー性鼻炎の1つです。診断には主に鼻水の状態や鼻の粘膜の色と腫れを観察することと、血液検査の結果を用いて行います。

治療方法は、マスクを着用して体にアレルゲンを入れない(予防)、薬による治療、減感作療法、手術治療が挙げられます。

減感作療法は、アレルゲンを少量ずつ、段階的に増量させながら注射して体になじませていくことでアレルギー反応を弱まらせる治療方法で、花粉症の症状の緩和が期待できる唯一の治療といわれています。しかし、注射のために長期に亘って通院する必要があること、治療を行う施設が少ないこと、注射をされるのを嫌がる方もいることなどが原因で今ひとつ世間に浸透していませんが、治療効果は高く、薬の服用量を大幅に減らすことができたり、症状の緩和が期待できます。

アレルギー性鼻炎の手術治療には、鼻づまりを起す要因となっている鼻腔内の腫れ上がった粘膜(下甲介粘膜)をレーザーで焼く下甲介粘膜焼灼術、粘膜の一部を切り取る下甲介粘膜切除術があります。共に主として鼻づまりの改善を目的としており、鼻水やくしゃみの改善度合いは鼻づまりのそれよりも低くなります。

下甲介粘膜焼灼術は局所麻酔下で行い出血は殆どありませんが、効果の継続期間が1~2年程度と短く、鼻中隔(鼻を左右に分ける軟骨の壁)が曲がっていると施術ができない、鼻の奥の方までは機材(レーザー)が届かず、粘膜を焼灼する範囲が狭くなるなどの欠点があります。

下甲介粘膜切除術は全身麻酔下で行います。下甲介粘膜焼灼術よりも出血が多いため、数日間の入院が必要というデメリットがあります。しかし効果の継続期間は長期にわたるので一度行えば再度手術が必要になることは少なく、また、鼻中隔が曲がっていても彎曲を治す手術も同時に行え、鼻の奥まで容易に機材が届くので効果的な手術といえます。