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「花粉症」 講演

スピーチ中の神尾院長

3月28日に神尾院長が、自身の所属する東京ロータリークラブの例会に於いて「スギ花粉症の傾向と対策」と題し、スピーチを行いました。

神尾院長は、内服薬や点鼻薬など薬物治療で使用される薬剤の種類や効能と、症状の重い方に処方するステロイド薬の安全性について、鼻の粘膜をレーザーで焼灼して鼻づまりを改善させる外科的治療の有効性と安全性について、アレルゲン(くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの原因となる物質)であるスギエキスの皮下注射を繰り返すことでアレルギー反応を起こさないように体を慣らす免疫療法の利点と欠点、また、免疫療法を簡便化させる計画など、花粉症の治療方法を中心に詳しく説明を行いました。

以下がスピーチの内容です。

スピーチ 「スギ花粉症の傾向と対策」

スギ花粉症はスギの花粉によって起こる、アレルギー疾患です。従って、アレルギー性鼻炎の一つになります。

アレルギー症状を引き起こす花粉には、スギのほか種々のものがあります。例えばヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどがありますが、その中で圧倒的に飛散量が多く社会問題にもなっているのがスギ花粉症です。

花粉症の治療には薬物治療、外科的治療、免疫療法の3種類が挙げられます。

薬物治療で使用する薬剤には、抗ヒスタミン剤、またはその他の抗アレルギー剤(ロイコトリエン拮抗薬)や漢方薬などの内服薬、その他、鼻用ステロイド噴霧薬、血管収縮剤の点鼻薬そして、ステロイドホルモン剤の内服薬があります。
抗ヒスタミン剤は第一世代と第二世代に分けられます。第一世代抗ヒスタミン剤は即効性に優れますが、眠気を引き起こしたり鼻汁だけではなく唾液や尿などの体内の水分も止める効果が強く、緑内障や前立腺肥大には禁忌となっているように使用には注意が必要です。第二世代抗ヒスタミン剤は、それらの副作用を軽減し改良された薬剤ですので、現在、花粉症の治療基準としては第二世代を用いることになっています。第一世代は市販薬として販売されているケースが多く、即効性はありますが眠気、倦怠感が強くなると思ってください。

現在の治療基準は、くしゃみと鼻水が主症状の方と鼻づまりが主症状の方に分け、更に症状の程度によって使用する薬剤を考えます。基本的にはくしゃみ、鼻水タイプには第二世代抗ヒスタミン剤、鼻づまりタイプにはロイコトリエン拮抗薬を処方します。更に中等症や重症の方には、ステロイド噴霧薬を使用します。

ステロイドといっても鼻用の噴霧薬の安全性は高く、毎日使用しても副作用の心配はありません。それでも抑えきれなければ、短期間にステロイドの内服薬や血管収縮剤の点鼻薬を使うこともあります。ステロイド剤はとても良く効きますが副作用もありますので、使用の際には気をつけなければなりません。また、以前一回の注射で1シーズン効果が持続する、ステロイドの筋肉内注射が行われましたが、長期間副作用が持続してしまうという理由で、この注射はお勧めできません。

大事なことは、既に花粉症になってしまっている方は薬剤をスギ花粉が飛散する少し前より開始することです。それによって予防もできますし、重症化することも抑えられますので、飛散期は症状の有る無しにかかわらず毎日服用することをお勧めします。

外科的治療には、レーザー治療があります。これは鼻の中の粘膜を一部レーザーで焼灼する外科的治療です。外科的治療といっても日帰り手術で、所要時間は20分前後です。この手術は花粉症症状のうち鼻づまりにはとても有効ですが、鼻みず症状には多少の効果しかなく、一度手術を行っても1~2シーズン(1~2年間)までしか効果が持続しません。

また、明確な安全性は確立されていないため、レーザー医学会では、現在、1人の方に対して3回までにとどめた方が良いと推奨されています。このレーザー手術を行うと術後の鼻の粘膜が回復するまでに3~4週かかりますので、できれば11月~1月前半までに手術を済ませた方が良いでしょう。

免疫療法は、アレルゲンであるスギエキスを皮下に注射を繰り返すことにより、根本的な体質改善を期待する方法です。スギのエキスを少量から開始し、少しづつ量を増加していきアレルギー反応が起きないように体を慣らしていく治療です。

スギ花粉に対する有効率は高いのですが、3年間は繰り返し続けなければならないのと、一般の診療所はこの治療に積極的ではないので、広く普及していないのが現状です。しかし、この治療も現在、改良開発中で、舌の下にエキスを滴下する方法が3年後くらいには始まる予定になっています。この方法では、何度も病院を受診しなくてもよく、自宅でもできると言われています。

今後の展望としてスギの木自体の改良に加え、新薬の開発やワクチンの開発、また、スギエキス舌下免疫治療等、新治療も出てくると思いますので、まだまだあきらめずにいてください。