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第20回 東京耳鼻咽喉科臨床懇話会を開催

平成26年10月30日に東京・飯田橋のホテル メトロポリタン・エドモントに於いて、第20回となる東京耳鼻咽喉科臨床懇話会を開催しました。

今回は、東京医科歯科大学歯学部附属病院 歯科心身医療外来教授の豊福明先生と、山形大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授の欠畑誠治先生にお話しを頂きました。

口腔領域の不定愁訴(MOUS)について

豊福 明 先生

豊福先生には「口腔領域の不定愁訴(MOUS)について」と題し、耳鼻咽喉科と近しい口腔疾患について、ご講演を頂きました。

豊福先生は初めに、舌痛症、口腔異常感症、非定型歯痛などといった歯科心身症の例を挙げられ、所見の上では問題はないが、何らかの処置を求めて受診される患者さんが多いこと、10~20年前に比べ、精神科領域の治療を要するほどのうつ症状や妄想を持った患者さんが、歯や口腔の症状のみを訴えて受診するケースが増えているので、日々の診療に於いて精神症状への対応が不可避となっていることといった同外来の現状を説明されました。

次いで、咬合、舌痛、歯痛、味覚異常などを訴えて同外来を受診した患者さんについて、症例写真を用いて説明された上で『治療的診断の落とし穴』として、歯科処置をした成果として良くなったのか、プラセボ的に「処置をしたから」良くなったのか分からなくならないよう、イレギュラーな処置が施された歯に注意が必要であり、また、どうしてそのような処置が為されたのかを考えることが肝要であるとされました。

そして、MOUSの患者さんには「心の病だけではなく口腔内所見と自覚症状の乖離=口腔感覚の歪みが起きているのではないか」との仮説を立て、口腔異常感症の患者さんの脳の画像検査を行ったところ、血流の左右差が認められるケースが多くあったと説明されました。

結びに、MOUSの患者さんを診察する上でのポイントとして、患者さんの訴えは“real”であり、前述の脳画像による説明で症状を納得してもらえる可能性が広がること、重篤な疾患ではないので、更なる検査や処置は必要でないと説明して不安を処理すること、症状があってもできることは行うよう促すことを挙げられました。

耳科手術のパラダイムシフト

欠畑 誠治 先生

欠畑先生には「耳科手術のパラダイムシフト」と題し、ご自身が開発・実践されている経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES)について、顕微鏡下耳科手術(MES)との違いや利点を交えながら、ご講演を頂きました。

欠畑先生は先ず、MESは「病変を明視下に置いて、安全確実に除去するために広く骨を削る」というコンセプトであり、60年余り続いている素晴らしい術式であるが、光学的な特性から死角になりやすい場所もあり、真珠種の遺残が起こる場合があるということを指摘されました。

その上で、真珠種に対するTEESによる鼓室形成術Ⅳiの動画を用いて、外耳道皮膚切開~真珠種の剥離・摘出~耳小骨連鎖の再建といった一連の手術操作を解説された後、内視鏡のメリットとして、広い術野と死角の減少を挙げられました。そしてTEESを使用する目的は、1.死角部位の直視下での操作、2.乳突蜂巣の可及的な温存、3.中耳換気の改善であり、また、経外耳道で行うことで低侵襲が実現され、操作対象により近づけることで顕微鏡よりも更に拡大視下に操作ができると説明されました。

次いで、TEESの適応拡大を図るために超音波ドリルやカーブドバーなどの専用機器(Powered TEES)を開発されたことや、TEESの適応を調べるための画像診断法も開発されたことのほか、内視鏡の選択について、ワーキングスペース確保のために小児の鼻用を使用されており、且つ、温度上昇対策としてLEDの光源を使用されていることを説明されました。そして、同科の真珠種症例の2/3はTEESで対応ができる反面、骨削開が必要となる1/3の症例には、MESが必要であると述べられました。

最後に、TEESを行うことによって、きちんと見られることは術者にとって非常に安心であり、他方、患者に対しては低侵襲となり、両者にとって大きな福音となっている。TEESとMESは、術者がそれぞれの方針に則って選択するべきではないかと結ばれました。