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第10回 看護部勉強会で石井医師が講義

手術の映像を用いて説明する石井医師

平成25年5月27日に看護部の勉強会を開催しました。
10回目となる今回は、耳科手術を専門とする当院医局長の石井賢治医師を講師として「鼓室形成術 ~術式とアプローチ~」と題した講義を行い、看護部スタッフのほか薬剤師、検査技師、医療事務、鍼灸師、栄養士など総勢約50名が出席しました。講演の要旨は以下の通りです。

近代的な鼓室形成術は、1950年代にドイツ ウルツブルグ大学のWullstein(ウルスタイン)教授が、5種類の鼓室形成術の原法を発表したことに始まる。それを基にして鼓室形成術は発展を遂げ、現在では日本耳科学会によって以下に分類されている。

●鼓室形成術の分類
ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨から成る耳小骨連鎖に手を加えないⅠ型、3つの耳小骨のうちアブミ骨より上部に位置するツチ骨・キヌタ骨が病変で障害されており、その代用として軟骨などを用いて(コルメラ=柱)連鎖を再建するⅢ型、ツチ骨・キヌタ骨のほかアブミ骨の上部も病変に侵されているため、アブミ骨の底板上で連鎖を再建するⅣ型に大別される。

Ⅲ型は更に、アブミ骨上にコルメラを立て、鼓膜→コルメラ→アブミ骨と伝音させるⅢc、アブミ骨とツチ骨若しくはアブミ骨とキヌタ骨の間にコルメラを挟んで伝音させるⅢi、キヌタ骨を一旦耳小骨連鎖から外して真珠腫を切除したり、真珠腫が付着したキヌタ骨の表面を削るなどの処理を加えた上で再度連鎖を再建する(処理したキヌタ骨を元に戻す)Ⅲrに分類される。

軟骨を元とした加工物であるコルメラを耳小骨の代用とするⅢc、Ⅲiに比べ、本来の耳小骨を連鎖に戻して再建するⅢrは(術後の)構造に無理がなく、聴力の低下や聴力が上がらないといったリスクが少ない。そのため、(患者さんの病態などにもよるが)石井医師はできるだけⅢrを行うよう心がけている。

Ⅳ型も同様に、アブミ骨底板上にコルメラを立てるⅣc、アブミ骨底板とツチ骨若しくはキヌタ骨の間にコルメラを挟むⅣiに細分類される。

●耳内法と耳後法
耳内法は、外耳道の入口部から耳輪の前方にかけて1.5cmほど切開し、外耳道を半輪切りにする。耳の後ろを大きく切開する耳後法と比べてワーキングスペースは狭いが、手術操作をするのに十分な術野は確保できる。

利点は、切開する部分が小さいため、創部の治癒も早い。外耳道から直線的に鼓膜を見るので鼓膜の後方が見やすく、耳の解剖・構造を理解しやすい。また、アブミ骨の操作が行いやすい。
側頭骨を削るなど手術侵襲が多くなると、内耳に影響が出る可能性も出てくるが、侵襲の少ない耳内法は術後の骨導聴力低下などのリスクを低くすることができる。
反面、鼓膜の前方は見にくいため、大きな穿孔の処理は行いにくく、また、耳後法に比べ乳突洞の処理のしやすさは劣る。

耳後法は、耳の後ろを切開し外耳道の後壁を削って中耳へとアプローチするので、乳突洞まで進展した真珠腫や乳突洞に炎症が及んだ慢性中耳炎などに対する乳突削開術、乳突充填術に適している。
どちらの方法で中耳へアプローチするかは、適応疾患と術前のCTで判断している。


その後、手術動画を用いて、切開・側頭筋膜の採取・削開・真珠腫の剥離・コルメラの加工・耳小骨連鎖の再建・骨パテの乳突腔への充填・外耳道の再形成といった一連の手術操作を説明しました。

講義後の質疑応答では、看護師や検査技師などから術後の聴力改善について、術後のプールや飛行機の搭乗について、鼓室形成術以外の中耳手術についてなど様々な質問が出され、非常に有意義な勉強会となりました。

講義中の石井医師

看護部をはじめ薬剤師、検査技師、医療事務、
鍼灸師、栄養士など総勢約50名が出席