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第26回 職員研修会を開催

平成28年6月23日に東京・神田のステーションコンファレンス万世橋に於いて 、第26回 職員研修会を開催しました。

本会は毎年6月に職員全員参加を基本として行っているもので、内容は、当院院長の講話の後、学術講演、医療制度、医療安全や院内感染など様々なテーマで院内外の講師の方々にご講演を頂いています。

本年は聴覚に関する2つの学術講演を中心に行いました。

学術講演(補聴器)

野田 幸義 言語聴覚士

野田言語聴覚士(以下ST)は「成人期・高齢期難聴者の補聴器装用による補聴と耳鳴治療について」と題し、主に一般職員に向けた補聴器と難聴者の聞こえについての講演を行いました。

野田STは先ず、STが取り扱う領域・疾患について、聴覚系分野を担当するSTの業務の内容、高齢期難聴者の特徴、補聴器装用患者やその家族に対しての留意事項など、同STの業務の概要を説明しました。

次に、耳かけ型、耳あな型などの補聴器の種類と特徴、「難聴者の聴力を補う」ことを目的としている補聴器と「健聴者が利用する音の増幅器」である集音器の違い、補聴器には①難聴の程度に応じて音の増幅量を調整する、②音のこもりや割れを調整する、③装用者が不快と感じるレベルに合わせて出力を制限する、という基本的な3つの機能があることなど、補聴器自体について説明を行いました。

次いで同STが行っている補聴器適合検査について、オージオグラムと語音明瞭度曲線を用いて実際の症例の装用閾値の変化を示しながら説明を行いました。

更に、専用ソフトを利用して聴力の程度(周波数帯)によって聞き取れる会話のシミュレーションを行い、難聴者には音がこもって聞こえるという実例を示しました。

最後に補聴器を用いた耳鳴治療であるTRT療法について映像を併用して説明を行いました。

学術講演(人工内耳)

加我 君孝 先生

加我君孝先生には「初期の人工内耳、21世紀の人工内耳」と題したご講演を頂きました。

加我先生は先ず、世界の人工内耳の歩み、当院の先代院長が行った本邦初の人工内耳手術とその症例について、蝸牛に電極を挿入し直接聴神経を電気刺激するという人工内耳の仕組みについて、スピーチプロセッサの進化によって、ことばの聴き取りが劇的に向上していること、人工内耳の内部装置は金属と磁石でできているため、CTやMRIの撮影の際に画像に影響が出てしまうという注意点など、基本的な事項を説明されました。

次に幼小児の人工内耳について、術前・術後の経過を追った診察の様子や難聴児の通園施設に於ける風景などの動画を用いながら、人工内耳装用児がしっかりと言語獲得ができており、発音も良いこと、装用開始が低年齢であるほど就学時の言語性IQは高いこと、一般的に人工内耳は音楽には対応できていないと言われているが、小児に関しては言語も音楽も教育の成果があることなどを説明されました。

次いで高齢者(中途失聴者)の人工内耳について、こちらも術前・術後の動画を用いて、術前の意思伝達は筆談などに頼ることが多く、裸耳言語聴取がほぼ0%である方も少なくないが、術後は日常のコミュニケーション能力が大幅に改善し、聴力を失う前のように会話を楽しまれていることなどを説明されました。

そして両耳聴の特徴として①両耳が協調して助け合う、②音の方向がわかる、③聞きたい音に集中する、④言葉を周囲の雑音から聞き分ける、ことを挙げられ、難聴者にも両耳聴を実現できるよう人工内耳・補聴器をそれぞれの患者さんの聴力の程度に応じて活用しなければならないとされました。

最後に今後の人工内耳の課題として、音楽を処理する能力のあるプロセッサの開発、人工内耳専門の医師・言語聴覚士の養成、日本各地での人工内耳センターの設立などを挙げられました。