|
702 鼻の手術的治療
●鼻中隔矯正手術
鼻中隔弯曲症に対して、鼻中隔矯正手術が行われます。鼻の中、入り口から約8mmの部分に切開を入れ、弯曲した部分の軟骨を切除したり、また、突出した骨の部分を削り取る手術です。手術後は両側より圧迫のガーゼやゼリー様のタンポンを行い、矯正部位の固定圧迫を行います。入院は約1週間で、手術は全身麻酔下に行われ、手術時間は30分程度です。
●下甲介形成手術
下甲介の粘膜腫脹が慢性化し、高度の鼻閉が続き、外来治療で回復しない場合に下甲介切除術が行われます。単に粘膜腫脹部を切除する場合と下甲介の骨の張り出しが強い場合、この骨の部分も切除する手術があります。鼻中隔弯曲症の手術と同時に行われる場合でも、入院は1週間、手術は全身麻酔下で30分程度です。
下甲介の粘膜は非常に血管に富んだ組織なので術後出血のある場合があり、ガーゼやゼリー様のタンポンによる圧迫タンポンを行い、術後2・3日目から慎重にガーゼを除去していきます。
●内視鏡下鼻内副鼻腔根治手術
外来での通院治療で改善しない慢性副鼻腔炎(ちくのう症)に対して、内視鏡下鼻内副鼻腔根治手術が行われます。
手術は全身麻酔下に、全て鼻の穴の中から行います。細いファイバースコープと鉗子類を使って、一回の手術で左右両側の手術を行います。
本来、鼻の穴の中と副鼻腔とは空気の通り道があり、つながっています。慢性副鼻腔炎では炎症によって副鼻腔内の粘膜が腫れているため、その空気の通り道がふさがっている状態です。
手術では、その空気の通り道を広く開け、また病的に腫れた粘膜(ポリープ)を切除して、本来の鼻に近い状態を作ります。そして鼻のもつ自浄機能を回復させようという手術です。
術後は出血を防ぐため、両方の鼻にガーゼや柔らかいゼリー様のタンポンを数日間詰めます。そのため術後数日は鼻閉が続きますが、退院時には鼻の通りは改善します。
手術は約2時間30分かかります。術後も定期的に外来を受診していただき、また抗生剤や消炎剤の内服を数ヶ月間は続けて治療することが大切です。入院期間は術後約1週間です。
●ナビゲーションシステム
慢性副鼻腔炎や副鼻腔のう胞などの手術は、現在ほとんどの症例で内視鏡を利用して鼻の中から行われ、以前に比べて患者さんに対する負担も少なく安全に行われています。さらに、当院では、より正確にかつ安全に手術を行い、同時に手術時間の短縮を図るために、平成13年にナビゲーションシステムを導入しています。これは、手術中に現在の手術位置を術前に撮影した精密なCT画像上に表示させるもので、カーナビゲーションで現在地がわかるものと同じシステムです。
副鼻腔は複雑な構造をしており、また、個人差の大きい領域です。また、眼球、頭蓋底、視神経などとも接しているため、常に正確に解剖学的な位置を把握することが重要です。
ナビゲーションシステムを使用することでリアルタイムで鉗子類の副鼻腔内での正確な位置を知ることができ、手術が困難な再手術症例や高度病変症例、また、鼻内から確認しにくい副鼻腔のう胞症例などでも安全に手術が行えるようになっています。
高額なため、大学付属病院を含めた全国の耳鼻咽喉科でも使用している所は数えるほどしかありません。

◆モニターに表示される画面で確認しながら施術を進めます。
|

◆施術中の手元画面
|
●鼻外前洞手術
慢性副鼻腔炎が高度となり、前頭洞に病変を来した場合は、眉の部分から切開を入れ、前額部から前頭洞の手術が行われます。傷痕が残るので、小児とか若い女性には行いにくい手術です。全身麻酔下で片側40分必要です。入院は約10日間です
●KTPレーザーによる鼻炎の日帰り手術
アレルギー性鼻炎や肥厚性鼻炎の治療法としてレーザー手術が注目されています。レーザー手術は高度病変を生じた下甲介粘膜の表層を焼灼あるいは切除して鼻炎症状を改善させる治療法であり、疼痛や出血といった合併症が皆無に近く、外来手術として安全に施行できることが大きな利点です。レーザーの種類には炭酸ガスレーザー、半導体レーザー、KTPレーザー、YAGレーザーなどが使用されています。
当院ではKTPレーザー(カリウムとチタンとリンによりなる合材の結晶を使用)により、鼻腔では下甲介粘膜焼灼術や下甲介粘膜切除術、喉頭では声帯ポリープ切除術などの手術を平成14年から行なっています。KTPレーザーは他のレーザーと比較して切開、蒸散、凝固(出血時の止血)の能力に優れ、操作性の良さと波長特性が臨床的に高い評価を受け、一般外来手術・内視鏡手術に対して急速に普及しています。また、KTPレーザー光はグリーンの可視光線であり照射位置を確認しながら使用できるので安全性にも優れ、正常組織への偶発的な熱損傷の危険性もありません。
手術の方法は一般外来で麻酔液を浸したガーゼを両側鼻内に挿入し、30分経過したのち下甲介粘膜に対して全体的に焼灼あるいは切除します。所要時間は約30分で、手術後再び診察し、帰宅していただきます。
術後の経過は翌日に熱反応性の腫脹をきたし、創傷治癒に3〜4週間要します。出血および二次感染予防のために止血剤、抗生物質を手術後数日間内服し一週間後に外来を受診していただきます。
スギ花粉症については、スギ花粉は毎年2月から5月まで飛散し鼻炎症状を発症させており、KTPレーザーによって症状を軽減することができます。手術の時期に関してはいろいろな意見がありますが、一般的には発症1〜2ヵ月前が最適であると言われています。しかし鼻中隔弯曲があり鼻内の狭い方には効果が弱まることがありますので、ご相談ください。

◆モニター画面で患部を確認しながら、施術を進めます。
|

◆レーザー施術中の手元画面
|
|