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Kamio Memorial Hospital Foundation

耳鼻咽喉科の病気・検査および治療

703 耳の手術

 耳手術用の顕微鏡が開発され、耳の手術法が開発されて、より多くの耳の病気が手術によって治療することが可能となりました。いずれの耳の手術も全身麻酔下に安全かつ確実に行われ、優れた成績をあげることができるようになりました。
 耳の手術はいずれも耳の後ろを切開します。したがって、傷は目立つことはありません。手術時には一部耳の後ろの毛髪を剃りますが、これも退院の時までには目立たなくなります。また、すべての耳の手術は全身麻酔で行われます。手術前には、肺や心臓あるいは肝臓、腎臓といった部位に手術や麻酔を行っても問題がないかを内科専門医が診断します。麻酔は専門医が行いますので安全で、心配はありません。
 代表的な手術のいくつかを紹介します。

●鼓室形成術

 慢性中耳炎に対して行われる手術で、耳の手術のうち最も多く行われる手術です。慢性中耳炎の患者さんは、鼓膜に穴(穿孔)があったり、鼓膜につながった耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)がこわれているために、きこえが悪くなっています。
 鼓室形成術は大きく3つの型に分けられます。

【T型】
 鼓膜の穿孔のみを閉鎖する手術で、鼓室形成術の基本型といえます。手術前に鼓膜の穿孔部を紙などで閉じてきこえの検査(バッチテスト)を行い、きこえが十分に改善されればこの鼓室形成術T型が行われることになります。手術時間はおよそ1時間と考えて良いでしょう。

【コルメルV型】
 ツチ骨・キヌタ骨が病変で障害されているが、アブミ骨は完全な形で残っている場合に、ツチ骨・キヌタ骨の代用に耳介の軟骨などを用いて音が伝わるようにする手術です。手術時間はおよそ1時間です。

【コルメル型】
 ツチ骨・キヌタ骨さらにアブミ骨の上、構造も病変で破壊されている場合、アブミ骨の底板に直接耳介の軟骨など用いて音が伝わるようにする手術です。手術時間はおよそ1時間30分です。
 鼓室形成術によって作られる鼓膜は、人工のものと思っておられる方が多いのですが、それは間違いで、患者さんの耳の上部にある側頭筋という筋肉を被う筋膜を用いて再生細くとしています。また、耳小骨は患者さん自身の耳介の軟骨を用いて作り替える場合がほとんどですが、セラミックスなど人工のものも時に使うことがあります。
 鼓室形成術を行う目的は2つあります。一つは、耳だれを完全に止める、二つめはきこえを改善させることです。この二つの目的を1回の手術で達成させるのですが、病変の程度によっては2度にわたって目的を達成させることもあります。入院は約2週間です。

●アブミ骨手術

 音を伝えるためのアブミ骨の底板が硬くなり、十分に伝わらなくなる耳硬化症という病気に対して行う手術です。アブミ骨手術には硬くなったアブミ骨底板を再び動くようにするアブミ可動術と硬くなったアブミ骨の一部を人工のものにするアブミ骨摘出術とがあります。人工のものといっても極めて安全性が高く、拒絶反応などはまったくありません。この手術により、耳硬化症の患者さんの聴力をよくすることが可能です。手術時間は約1時間で、入院は約10日間です。

●内リンパ嚢(のう)開放術

 メニエール病に対する手術的治療に内リンパ嚢開放術があります。メニエール病は、めまい発作を反復し、難聴が進行していく病気です。内耳にリンパ液(内リンパ液)が過剰に蓄積されたために起こります。内リンパ嚢開放術は、内耳に過剰に蓄積されたリンパ液を減少させる道筋を作る手術です。
 メニエール病の患者さんすべてにこの手術が必要となるわけではありません。一般的にはメニエール病の治療は薬物療法が第一となり、薬物療法でもめまい発作が治らない場合や、めまい発作が無くてもきこえが悪化していく傾向の強い場合に、内リンパ嚢開放術が必要となります。手術時間は1時間で、入院は10日間です。

●顔面神経管開放術

 顔面神経は、中耳の骨の中にある顔面神経管を通っているため、耳鼻科との関連が深く、顔面神経麻痺の治療も耳鼻科が中心に行われます。盤面神経麻痺の原因はいろいろあり、治療は側頭骨の骨折や真珠腫性中期炎による場合以外は、まず薬物療法が行われます。しかし、骨折や中耳炎による場合とか薬物療法が効果がない時には、手術的治療が必要となります。
 この手術では、顔面神経が通る管を開放し、顔面神経の変性の進行をくいとめるようにし、顔面神経麻痺を治療します。手術は約1時間で、入院は10日間です。

●聴神経腫瘍摘出術

 きこえの神経(聴神経)に良性の腫瘍ができると、難聴、耳鳴、めまいなどが起こってきます。良性の腫瘍で、かつ大きくなるまでには時間がかかる腫瘍ですが、腫瘍ですから摘出することが唯一の治療法といえます。以前は腫瘍が大きくなり、脳腫瘍となって脳外科で手術することが多かったのですが、最近では極めて初期のうちに診断することができるようになり、耳鼻科で手術することが多くなりました。
手術の方法には幾つかありますが、どの方法を行うかは腫瘍の大きさとか腫瘍の位置によって異なります。手術前に様々の検査を行い、手術方針を決定することになります。どの方法も手術には約4時間かかり、入院は2週間です。

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