神尾記念病院トップページへもどる 耳鼻咽喉科の高度専門病院
医療法人財団 神尾記念病院
Kamio Memorial Hospital Foundation
耳鼻咽喉科の病気・検査および治療
705 補聴器の適合

●補聴器適合検査

 難聴のため音が聞こえても言葉が判らなかったり、聞き違いを繰り返すことに悩んでおられる方はたくさんおられます。現在の補聴器は、非常に役に立つようになってきましたが、難聴には個人ごとに聴力低下の程度や病因の質的相違がありますから、各個人の難聴に合うように補聴器の働きを調整することが最も大切なことになります。そうでないと、会話を細かく聞き分け、理解することができなくなります。
 このような補聴器の調整をする方法を補聴器適合検査といいます。  専門医による補聴器適合検査を受けないで、補聴器センターとかデパートなどの販売店で補聴器を直接買って帰られても、「あまり言葉が聞き分けられない」と失望して相談に来院される方が多数おられます。
 また、良いことばかりが書かれている補聴器会社の広告パンフレットを信用して、補聴器販売店やデパートで買って帰って数日使ってみたところ、「カンジンの言葉が聞き分けられない」と来院される方も多くなりました。中には、4〜5台も補聴器をいろいろの販売店(補聴器センター)から買ってみたが、あまり役に立たないと困っておられる方もおられます。
 その理由は、メーカーで補聴器を設計している技術者は難聴の医学的知識にかけていたこと、一方、耳科医は難聴の質的相違は知っているが、補聴器の設計までたずさわってこなかったことにあります。電気音響工学と聴覚障害の医学的知識の両面を理解している者でないと、補聴器の適合は開発されなかったわけです。
 本院(東京耳科学研究所)では、20年前から補聴器適合法を開発してきましたが、補聴器の進歩が遅れ、あまり役に立つことができませんでした。しかし、最近では良い補聴器が製作されるようになり、お役に立てるようになりました。

●補聴器適合法

 音声は100Hz(ヘルツ)から8000Hzくらいまでのいろいろの音の組み合わせからなっていて、この組み合わせの相違から言葉を聞き分けられ、会話の意味が分かるわけです。その中でも特に、音声の聞き分けに最も大切な音域は、400Hzから3000Hzまでです。補聴器の働き(増幅)もこの400Hzから3000Hzの間に重点を置くように設計しなければなりません。
 補聴器は、現在のものでも3000Hzとか4000Hzの音響出力となるとまだ十分ではありませんので、高度難聴の方には適合が不足する場合もあります。
 本院では、各国製の補聴器の特性をあらかじめ十分に測定研究して、音質最良で雑音の最も少ないものを選んでいます。次には、400Hzから3000Hzまでの音域で補聴器の増幅度(出力)が聴力障害に応じて適切に変えられる補聴器を選んでいます。このような補聴器で適合検査を行い、会話音が十分に聞き分けられるように補聴器の働きを調整しています。

【幼児の難聴】
 特に注意していただきたいのは、幼児の難聴です。3歳になっても意味のある言葉の出ない幼児の原因には、高度の難聴があります。この場合に、適合検査で適合した補聴器を選ぶことが特に大切です。不適当な補聴器を知らずに使用していると、幼児は聞こえる通りに発語しますから、不適合補聴器で歪んだ不明瞭な言葉の通りに発語することになり、大人になっても歪んだ発語は直りません。そのため、仕事や社会生活に支障を来します。幼児の補聴器適合検査は高度の技術を要しますが、適合には特別な努力が必要です。

【中等度難聴】
 中等度の難聴は、高齢者に多く見られますが、どんなに健康な人でも80歳になると難聴になります。テレビの音量を上げるので、家族の方々にはやかましくて嫌われます。そんなに高齢でなくてもテレビの音量を上げるようになったら、がまんせずに補聴器を使われるようおすすめします。補聴器を耳にかけるのはいやだと思っておられる方には、耳の中に挿入できて目立たないカスタム型補聴器があります。近ごろのカスタム型補聴器には、音質が良くて言葉の聞き分けも良く、また軟らかい音のなので、これが十分に適合しますと、若い頃の聴力に戻ったような気分になり、生活が楽しくなります。カスタム型は、中等度難聴にはおすすめ品です。
 最後に忘れてならないことは、各人の外耳道の形と大きさはいろいろ違っていますから、それに合ったプラスチック製の鋳型(イヤモールド)を作ることです。イヤモールドと外耳道に合ってこそ補聴器の良い音質も保てるわけで、イヤモールドと外耳道に隙間があり空気が少しでも漏れると、音質が悪くなるばかりでなく、ピーピーという発振音が発生し、いかに良い補聴器でも役に立たなくなります。大切なことは、良く適合した補聴器を適合検査で選び、良く適合したイヤモールドを作ることです。

戻る

このページに対するお問い合わせは
hosp@kamio.orgまで