神尾記念病院トップページへもどる 耳鼻咽喉科の高度専門病院
医療法人財団 神尾記念病院
Kamio Memorial Hospital Foundation
耳鼻咽喉科の病気・検査および治療
803 ペインクリニック外来

 患者さんが病院を訪れるきっかけは、多くの場合、痛みであるといってよいかもしれません。しかし、痛みの原因の治療は行われても、痛みそのものの治療は軽視されてきました。最近注目されているペインクリニックは、神経ブロック法を用いて痛みの治療を行います。

●星状神経節ブロック

 ペインクリニックで最も多く行われているのは星状神経節ブロックです。これは頸のところにある交感神経節で、星の形をしているので星状神経節と呼ばれていますが、頭部(脳を含む)、顔面、上肢胸背部の血行を支配しています。炎症性の疾患や外傷があると、その痛みの刺激は反応的に交感神経の緊張をきたし、その部位の血行障害をひきおこします。そうしますと、血流の悪いことから代謝産物は洗い流されずに蓄積し、これが発痛物質を生成し、ここに痛みの悪循環が形成されます。星状神経節ブロックは、この痛みの悪循環を断つ最も効果的な方法です。ブロック後に支配領域の血流は著明に増加しますが、この血流量の増加、改善率は、他のどの治療法や薬剤(循環改善剤)よりも優れており、副作用もほとんどありません。
 したがって、適応症は帯状疱疹、頭痛、顔面神経麻痺から肩こりに至るまで広い範囲におよびます。さらに、このブロックが最も効果的なのは、いわゆる不定愁訴であるとされています。不定愁訴とは、体がだるい、疲れやすい、不眠、頭重、頭痛、喉の異常感、めまい、耳鳴り、肩こり、胃部不快感、便通異常、食欲不振などの身体的異常を訴えるにもかかわらず、血液検査やレントゲン検査では原因となる異常が認められないという場合をさします。どこも悪くないと言われて帰されるか、あるいは他科(特に精神科)にたらい回しにされることが多く、患者さんは症状を認めてもらえない、また的確に診断してもらえないといった理由から深刻に悩み、医師不信に陥っていることも少なくありません。
 最近、この不定愁訴に交感神経の過緊張が深く関与していることが指摘されています。本来、人類はその歴史の99%以上を狩猟生活に依存しており、狩りの時だけ交感神経を緊張させ、肉体を臨戦状態に切り替えるだけでよかったのです。しかし、文明の発達は加速度的であり、肉体は変化しないのに環境は急激に変化してしまいました。現在のストレス社会は我々を常に臨戦状態、すなわち交感神経過緊張の状態に強いるようになってしまいました。この交感神経の過緊張が種々の不定愁訴を引き起こすと考えられています。
 それ以外にも、例えば顔面神経麻痺、突発性難聴、メニエール病なども不快情動ストレス→交感神経過緊張→血行障害→阻血→浮腫→神経圧迫というふうに説明できるとされています。
 このような、交感神経過緊張にも星状神経節ブロックは有効な治療法です。痛みや不定愁訴でお悩みの方は、是非一度お試しください。


 星状神経節ブロック以外の耳鼻咽喉科領域において、しばしばペインクリニックの対象となる疾患とブロック法を下記します。

1.悪性腫瘍(上顎癌など)の痛みや三叉神経痛に対する三叉神経ブロック(8種類)
2.後頭部痛に対する大小後頭神経ブロック
3.顔面痙攣に対する顔面神経ブロック
4.咽喉頭癌の痛みや舌咽神経痛に対する舌咽神経ブロック

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