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耳の手術と入院期間について



内視鏡を用いた耳の手術

耳の手術には、耳の後ろを大きく切って病巣にアプローチする「耳後法」と、耳の前を約1.5cmくらい切り、耳の穴から手術を行う「耳内法」、耳の穴からだけで手術を行う「経外耳道法」があります。

当院では病気の種類や病巣の大きさなどによって、それぞれを使い分けています。入院期間は以前は9日間でしたが、2020年3月より5日間に短縮しています(非常勤医が執刀する場合は9日間)。

真珠腫性中耳炎が乳突洞に進展している場合、耳後法は病巣の完全除去に適しています。傷は耳の後ろなので目立ちませんが、5~6cmと大きなものになります。手術の際は鼓膜の前方までよく見えるので、大きな穿孔のある慢性中耳炎には適しています。耳内法は傷が小さく治りが早いのですが、大きな真珠腫には不向きです。手術侵襲が小さいため、合併症の発症の可能性は耳後法より少なくなります。経外耳道法は耳の外に傷がないため、入院中も頭に包帯を巻く必要がありません。但し、耳の穴があまりにも狭いと適応にはならず、この方法で手術できる病気も限られます。

近年、日帰りもしくは2~3日の短期入院で手術を行う施設が増えていますが、当院は患者さんの手術後の状態を確認し、術後に起こるかもしれないめまい、痛みなどに対処していく必要があると考えています。よって5日の入院が最適であると考えています。また、耳の病気は手術してしまえばそれで終わりではなく、真珠腫性中耳炎の場合は再発の可能性があり、慢性穿孔性中耳炎の場合は再穿孔の可能性が稀にあります。そのため長期にわたり注意深い経過観察と処置が必要になります。

真珠腫性中耳炎の手術について

真珠腫の場合、2度に分けて手術を行う施設もあります。当院では患者さんの負担を考え、真珠腫の摘出、鼓膜・耳小骨の再建を可能な限り1回で行っています。

完全耳内法について

経外耳道法にて外耳道後方を弧状に切開し、顕微鏡下に手術を行う方法を「完全耳内法」と名付けました。耳の穴の中だけを切開し、手術を行います。
傷が耳の外側にない、というのは患者さんにとって朗報でしょう。適応については以下のとおりです。

  • 耳硬化症
    ほとんどの患者さんはこの方法でアブミ骨手術が可能です。

  • 耳小骨奇形
    ほとんどの患者さんはこの方法で鼓室形成術が可能です。

  • 外傷性耳小骨離断
    ほとんどの患者さんはこの方法で鼓室形成術が可能です。

  • 慢性穿孔性中耳炎
    耳の穴が十分に広く、鼓膜の前方までよく見え、中耳や乳突洞に炎症がない場合、この方法で鼓室形成術が可能です。
    鼓膜再建の材料となる側頭筋膜または皮下結合組織は耳の後ろを1.5cmほど切開して採取しますが、傷は1週間程度できれいに治り、傷跡は通常、残りません。

  • 先天性真珠腫
    お子さんの小さな耳でも、初期の真珠腫であればこの方法で鼓室形成術が可能です。

  • 内耳窓閉鎖術
    外リンパ瘻の患者さんに対して行う手術で、ほとんどの患者さんはこの方法で可能です。

耳内視鏡手術について

当院では最新の耳内視鏡を導入しています。内視鏡で手術可能と判断された場合、経外耳道法で行います。
また、アプローチ法に関わらず、顕微鏡下の手術の際に内視鏡を併用することもあります。

これら術式については、手術を担当する医師にご相談ください。

入院中のスケジュール(鼓室形成術)

診察・検査など 食事 安静・入浴など
入院日
  • 検査
  • 採血
  • 主治医・麻酔科医の診察
  • 常食
  • 24時以降禁食(翌日の手術入室時間による)
  • 制限なし
手術日
  • 手術後、リカバリー室にて状態を観察
  • 起床後、7時もしくは10時以降禁飲水(当日の手術入室時間による)
  • 夕食は自室にて全粥
  • 洗顔・歯磨き・トイレ可
手術翌日
  • 診察
  • 骨導聴力検査
  • 本日より常食
  • シャワー可
  • 主治医の判断によってシャンプー可
  • 院内活動に制限なし
  • 外出不可
手術後2日
  • 退院診察(退院当日になることもあります。)
  • 外出不可
手術後3日
  • 耳内ガーゼ交換(退院後になることもあります。)
  • 採血
  • 退院

入院中のスケジュール(アブミ骨手術)

診察・検査など 食事 安静・入浴など
入院日
  • 検査
  • 採血
  • 主治医・麻酔科医の診察
  • 常食
  • 24時以降禁食(翌日の手術入室時間による)
  • 制限なし
手術日
  • 手術後、病室にて状態を観察
  • 起床後、7時もしくは10時以降禁飲水(当日の手術入室時間による)
  • 夕食は自室にて全粥
  • ベッド上安静
  • 入浴不可
手術翌日
  • 診察(ベッド上)
  • 骨導聴力検査
  • 自室にて常食
  • 主治医の判断によって病室のフロアのみ歩行可
  • 主治医の判断によって清拭可
手術後2日
  • 退院診察(退院当日になることもあります。)
  • エレベーター使用で5Fまで歩行・移動可
  • 主治医の判断によってシャワー・シャンプー可
手術後3日
  • 耳内ガーゼ交換(退院後になることもあります。)
  • 採血
  • 退院

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